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2020年度学会賞受賞者の紹介

第 25 回 日本統計学会賞
岩崎 学 氏
第 16 回 日本統計学会統計活動賞
公的統計ミクロデータコンソーシアム
統計データ利活用センター(総務省統計局・独法統計センター)
第 16 回 日本統計学会統計教育賞
渡部 靖司 氏青森県企画政策部統計分析課
第 14 回 日本統計学会研究業績賞
鎌谷 研吾 氏
第 34 回 小川研究奨励賞
澤 正憲 氏中島 上智 氏

第 25 回 日本統計学会賞

岩崎 学 氏

略歴
1975 年 東京理科大学理学部卒業,1977 年 東京理科大学大学院理学研究科数学専攻修士課程修了,1977 年 茨城大学工学部情報工学科助手,1984 年 防衛大学校数学物理学教室講師,1987 年 同助教授,1988 年 理学博士取得(東京理科大学),1993 年 成蹊大学工学部経営工学科助教授,1997年 同教授,2001 年 成蹊大学理工学部情報科学科教授,2017 年 横浜市立大学国際総合科学群教授(併任),2018 年 横浜市立大学データサイエンス学部教授・学部長.
授賞理由

岩崎学氏は,統計学・データサイエンスに関する研究,教育,社会的活動において幅広く活躍し,数多くの優れた業績を挙げている.研究に関しては,多変量解析,射影追跡などの計算機多用型の統計解析法,mid-P 値やゼロ過剰な確率モデルを含むカウントデータの統計解析法,欠測などの不完全データの統計解析法,統計的因果推論など,実際の統計解析に密接に関わる多くの統計解析手法の方法論を総合的に研究し,かつ,実践してきた.それらの研究成果は,論文や著作物として刊行されたほか,学会等の講演あるいは各種セミナーを通じて公開された.また,岩崎氏は,日本統計学会の会長,理事長を務めたほか,現在統計関連学会理事長を務めるなど,様々な統計関連学会の役員に就任し,長きにわたり統計学の発展・普及に寄与してきた.さらに,厚生労働省等における新薬の承認申請の審査に 20 年以上にわたり携わるなど,多くの社会貢献も特筆される.最近では,横浜市立大学のデータサイエンス学部の創設に携わり,初代学部長に就任し,統計学・データサイエンスに関する研究・教育のさらなる発展に尽力している.このような岩崎氏の統計学・データサイエンスの発展に対 する多面的かつ多大な貢献は,日本統計学会賞にふさわしいものである.

主要業績
[1] 岩崎学 (2019)『事例で学ぶ!新しいデータサイエンスの教科書』翔泳社
[2] 岩崎学 (2015)『統計的因果推論』朝倉書店
[3] 岩崎学 (2002)『不完全データの統計解析』エコノミスト社
[4] Kurosaki, M., Iwasaki, M. et al, (2012) Data mining model using simple and readily available factors could identify patients at high risk for hepatocellular carcinoma in chronic hepatitis C. Journal of Hepatology, 56, 602-608.
[5] Iwasaki, M. (1991) Construction of M-estimators by robustifying orthogonal polynomials associated with the density function. Journal of the Japan Statistical Society, 21, 155-171.

第 16 回 日本統計学会統計活動賞

公的統計ミクロデータ研究コンソーシアム

授賞理由
公的統計ミクロデータ研究コンソーシアムは,公的統計のミクロデータの研究への利用を推進することを目的として,2016 年に統計データの提供に携わる者.統計データの分析・研究に携わる者が中心となって.学官産の共同により設立された団体である.公的統計のミクロデータは,統計学を始め,さまざまな学問分野における重要な研究基盤と位置付けられるが,利用手続きの煩雑さや,利用機会の少なさに伴う研究者層の未成熟などのため, 従前は十分に利活用が進んでいなかった.このため,国では 2015 年頃から利活用の環境整備を進め,2018 年の統計法改正(2019 年施行)の後,セキュリティを確保した上でミクロデータを利用することのできる「オンサイト利用」の制度を創設した.コンソーシアムは,このような動きに先行して,ミクロデータの利用の観点を中心に.データの整備方法,研究利用プラットフォーム形成等に向けた研究を進めるとともに,統計研究者のためのシンポジウムを開催し,学官産の間で緊密な情報共有及び意見交換を行ってきた.このような活動を通じて,現在ではオンサイト利用を通じたミクロデータによる統計研究は着実に増加している.コンソーシアムのこのような活動は,統計学及び統計を支える基盤の充実,高度化を通じた研究・教育環境の整備に多大な貢献をするものとして高く評価できることから,日本統計学会統計活動賞にふさわしいものである.

統計データ利活用センター(総務省統計局・独立行政法人統計センター)

授賞理由
統計データ利活用センター(以下「利活用センター」)は,総務省統計局及び独立行政法人統計センターが 2018 年 4 月に開設した公的統計のミクロデータ利活用の推進拠点である.公的統計のミクロデータは,統計学を始め, さまざまな学問分野における重要な研究基盤と位置付けられるが,利用手続きの煩雑さや,利用機会の少なさに伴う研究者層の未成熟などのため,十分に利活用が進んでいなかった.このため,国では 2016 年から利活用の環境整備を進めるとともに,統計法の改正を行い,セキュリティを確保した上でミクロデータを利用することのできる「オンサイト利用」の制度を 2019 年から施行した.この一連の動きに先立ち,総務省統計局及び独法統計センターは,大学・研究機関と連携して公的統計ミクロデータの研究目的での利用を進めてきた.利活用センターは,そのような実績を踏まえて設立されたものであり,現在までに全国の9大学・研究機関にオンサイト利用施設が整備され,利活用センターとセキュアなネットワークで結ばれている.これらオンサイト利用施設は,利活用センターと連携して,公的統計ミクロデータの研究拠点となっている.このほか,利活用センターでは,各府省の公的統計ミクロデータに関する情報を一元的に集約した政府ポータルサイトを立ち上げるなど,ミクロデータを活用した研究利用の促進に努めている. 利活用センターのこのような活動は,統計学及び統計を支える基盤の充実・高度化を通じた研究・教育環境の整備において多大な貢献をするものとして高く評価できることから,日本統計学会統計活動賞にふさわしいものである.

第 16 回 日本統計学会統計教育賞

渡部 靖司 氏

略歴
2002 年 広島大学理学部数学科卒業,2002 年 愛媛県立野村高等学校教諭,2005 年 愛媛県立松山中央高等学校教諭,2011 年 愛媛県立上浮穴高等学校教諭,2015 年 愛媛県立松山南高等学校教諭.
受賞理由
渡部靖司氏は,高等学校数学科における統計教育の方法論的研究・授業実践の分野で活発な活動を行い,顕著な実績を挙げてきた.特に,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けた高等学校普通科課題研究において,生徒に主体的な科学的探究活動を指導し,その実践内容について「統計教育の方法論ワークショップ」等において研究発表を行うなど, 統計的問題解決の授業の改善に取り組むとともに,授業事例の普及に努めている.本年 2 月の同ワークショップにおいても授業実践成果の研究発表を行い,優秀実践事例として認められた.また,生徒の統計的課題研究の指導に意欲的に取り組み,指導を受けた生徒たちが 2018 年 統計データ分析コンペティション日本統計協会賞等を受賞するなど,指導力の高さも高い評価に値する.現在,渡部氏は,勤務校の SSH 推進課次長として普通科課題研究「データサイエンスⅠ」のカリキュラム開発や産学連携プロジェクトに尽力している.このような渡部靖司氏の優れた実績は,統計教育の発展に顕著に貢献しており,高く評価されるものであることから,日本統計学会統計教育賞にふさわしいものである.
参考資料
[1] 渡部靖司 (2020)「統計課題研究 2 年目の取組~様々なコンテストへの参加と産学連携に向けて~」第 17 回統計教育の補法論ワークショップ, 統計数理研究所共同研究リポート 431 統計教育実践研究第 12 集,pp.112- 115.
[2] 渡部靖司 (2019)「統計課題研究 1 年目の取組~様々なコンテストへの挑戦~」第 16 回統計教育の方法論ワークショップ,『統計』教育実践研究特別号,pp.37-40
[3] 渡部靖司 (2016)「平成 28 年度愛媛大学入試問題(数学)の研究」,愛媛県高等学校教育研究会数学部会『数学部会誌』,第 57 巻,pp.50-56
[4] 渡部靖司 (2015)「 鳩の巣原理を利用した課題学習の研究」,愛媛県高等学校教育研究会数学部会『数学部会誌』,第 56 巻,pp.86-88
[5] 渡部靖司 (2014)「ランダムウォークの研究」,愛媛県高等学校教育研 究会数学部会『数学部会雑誌』,第 55 巻,pp.90-93

青森県企画政策部統計分析課

授賞理由
青森県統計分析課は,地方公共団体における統計行政を担う機関として, 他の都道府県に先駆け,学校教員を対象とする統計研修会を行い,統計指導者の育成を通じて統計の普及啓発を図る取組を進めてきた.同課では, 平成 21 年度の学習指導要領の改訂において統計教育が拡充されたことに 対応して,平成 25 年度から,小学校・中学校・高等学校の統計指導者を対象とする「青森県統計教育セミナー」を毎年開催してきた.教育現場では,統計教育の指導方法に不安を抱く教員が多かったことから,同課では, 県中学校教育研究会数学部会との共催により,日本統計学会統計教育委員会や文部科学省の協力を得て,特別講演会や,先進的取組を行っている中学校教諭の事例研究発表など実践的な研修会を実施している.このような活動を通じて,統計指導力の高い教員を育成し,統計的問題解決能力を持った子供の育成につながる教育支援を継続的に行うことにより,統計教育の向上に大きく貢献している.青森県統計分析課のこのような活動は,統計教育の発達・普及及び統計に関する普及・啓発に多大なる貢献するものとして高く評価されることから,日本統計学会統計教育賞にふさわしいものである.

第 14 回 日本統計学会研究業績賞

鎌谷 研吾 氏

略歴
2003 年 東京大学理学部卒業,2005 年 東京大学大学院数理科学研究科数理科学専攻修士課程修了,2008 年 東京大学大学院数理科学研究科数理科学専攻博士課程修了,2008 年 日本学術振興会特別研究員 PD,2009 年東京大学大学院数理科学研究科特任助教,2011 年 大阪大学大学院基礎工 学研究科助教,2014 年 同講師,2019 年 4 月 同准教授.
授賞理由
鎌谷研吾氏は,ベイズ統計理論及び関連計算統計の分野において多数の顕著な業績を挙げており,その貢献は,MCMC 法や逐次モンテカルロ法の実用的な手法の提案及び実装,並びに関連する基礎理論の発展など多岐にわたっている.特に,裾の重い確率分布に対する MCMC 法の提案と,そのエルゴード性解析並びに高次元漸近論の研究は,当該分野の理論及び実データ解析に新たな発展の方向性を示す先駆的なものであり,その成果は, JSS Research Series in Statistics (Springer)として近刊の予定である.鎌谷氏の一連の研究成果は,計算統計を始めとする統計学における広範な分野の底上げに資するものであり,その有用性及び重要性は国内外で広く認識されている.鎌谷氏は世界第一線の研究者と共同研究を行い,その成果も注目を集めている.さらに,鎌谷氏の提案する手法は,数値実験及び実データ解析においても有用性が確認されており,鎌谷氏が.理論的な貢献はもとより,実用化まで並行して研究し実現していることは特筆に値する.計算機集約的な統計手法への需要が増している今日において,鎌谷氏のこのような卓越した業績は統計学の発展に多大な貢献をするものであることから,日本統計学会統計業績賞にふさわしい.
主要業績
[1] Jasra A., Kamatani, K., Law, K.J.H. and Zhou, Y. (2017). Multilevel particle filters. SIAM Journal on Numerical Analysis 55(6), 3068-3096
[2] Kamatani, K. (2017). Ergodicity of Markov Chain Monte Carlo with reversible proposal. Journal of Applied Probability 54, 638-654.
[3] Kamatani, K. (2018) Efficient strategy for the Markov Chain Monte Carlo in high-dimension with heavy tailed target probability distribution. Bernoulli, 24(4B), 3711-3750
[4] Bishop, A.N., Del Moral, P., Kamatani. K. and Remillard, B. (2019). On one-dimensional Riccati diffusions. Annals of Applied Probability 29(2), 1127-1187
[5] Kamatani, K. (2020). Random walk Metropolis algorithm in high dimension with non-Gaussian target distributions. Stochastic Processes and their Applications 130(1), 297-327

第 34 回 小川研究奨励賞

澤 正憲 氏

略歴
2003 年 広島大学学校教育学部卒業,2005 年 広島大学大学院理学研究科修了(数学専攻),2007 年 名古屋大学大学院情報科学研究科修了 博士(情報科学),2007 年 日本学術振興会特別研究員(PD),2008 年 高松工業高等専門学校講師,2009 年 名古屋大学大学院情報科学研究科助教,2010 年 米国テキサス大学ブラウンズビル校客員助教,2011 年 米国オレゴン大学客員助教,2014 年 名古屋大学大学院情報科学研究科招聘教員,2014 年 神戸大学大学院システム情報学研究科准教授.
授賞理由
澤正憲氏は,組合せ論的立場から統計的実験計画の分野における最適デザインに関する研究を行ってきた.澤氏は,特に数値解析や組合せ論における Quadrature(求積法)及びユークリッドデザインの理論に深い造詣を有しており,これを最適デザインの理論を含む実験計画法の研究に新たに導入し,多くの重要な成果を得ている.澤氏の一連の研究は,Quadrature,ユークリッドデザイン,最適デザインを相互に関連付け,関連性の見えにくい研究領域の本格的な越境を促すものである.澤氏は実験計画法の数理的な理論に関する重要な業績を数多く得ており.研究手法の独創性と分野横断性は注目に値する.澤氏のこのような優れた研究業績は,統計学の発展に大きく寄与するものであることから,日本統計学会小川賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] Sawa, M., Hirao, M. (2016) Characterizing D-optimal rotatable designs with finite reflection groups. Sankhya Series A (Indian J. Statistics), Vol.79, 101-132
[2] Yamamoto, H., Hirao, M., Sawa, M. (2019) A construction of the fourth order rotatable designs invariant under the hyperoctahedral group, Journal of Statistical Planning and Inference, Vol.200, 63-73
[3] Hirao, M., Sawa, M. (2019) On almost tight Euclidean designs for rotationally symmetric integrals, Japanese Journal of Statistics and Data Science, Vol.2, 615- 639. (招待論文)
[4] Sawa, M., Hirao, M., Kageyama, S. (2019) Euclidean Design Theory, JSS Research Series in Statistics, Springer.

中島 上智 氏

略歴
2004 年 東京大学経済学部卒業,2006 年 東京大学大学院経済学研究科修士課程修了(経済学修士),同年 日本銀行入行,2012 年 米国デューク大学統計学博士(Ph.D. in Statistics)取得,2016 年 国際決済銀行シニアエコノミスト,2019 年 日本銀行調査統計局経済調査課マクロモデルグループ 長.
授賞理由
中島上智氏は,経済学の実証分析を中心として,トップジャーナルを含む国際学術雑誌に多くの優れた研究論文を発表している.これらの研究において,モデルの理論的側面だけでなく政策に役立つ統計モデルの開発や経済ファイナンスデータを用いた実証分析など,実社会に直結した研究テーマにも力を入れている.また,高次元の多変量時系列モデルに関する研究では,昨今注目されているビッグデータを効率的に活用するための方法として,実社会に役立つ結果を提示している.このほか,2018 年 9 月 開催の統計関連学会連合大会において行われた第 2 回 赤池メモリアルレクチャーにおける米国デューク大学 Mike West 特別栄誉教授による基調講演において討論者を務め,「多変量時系列のベイズ予測」に関する発表を行うなど,活発に研究活動を行っている.このような中島氏の優れた業績は,統計学の発展に大きく寄与するものであることから,日本統計学会小川研究奨励賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] Nakajima, J. (2020) “Skew selection for factor stochastic volatility models,” Journal of Applied Statistics, 47, 582-601
[2] Nakajima, J. (2020) “Discussion of ‘Bayesian forecasting of multivariate time series: Scalability, structure, uncertainty, and decisions’,” Annals of the Institute of Statistical Mathematics, 72, 33-36
[3] McAlinn, K., K.A. Aastveit, Nakajima, J. and West, M. (2020) “Multivariate Bayesian predictive synthesis in macroeconomic forecasting,” Journal of American Statistical Association, in press
[4] Nakajima, J. (2020) “The role of household debt heterogeneity on consumption: Evidence from Japanese household data,” Economic Analysis and Policy, 65, 186-197
[5] Kaihatsu, S. and Nakajima, J. (2018) “Has trend inflation shifted?: An empirical analysis with equally-spaced regime-switching model,” Economic Analysis and Policy, 59, 69-83
[6] Nakajima, J. (2017) “Bayesian analysis of multivariate stochastic volatility with skew distribution,” Econometric Reviews, 36, 546-562
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