1. HOME > 
  2. 学会について > 
  3. 学会賞 > 
  4. 2019年度学会賞受賞者の紹介

2019年度学会賞受賞者の紹介

第 24 回 日本統計学会賞
小暮 厚之 氏
第 15 回 日本統計学会統計活動賞
国立大学法人 滋賀大学
第 15 回 日本統計学会統計教育賞
一般社団法人日本品質管理学会TQE特別委員会塩澤 友樹 氏
第 13 回 日本統計学会研究業績賞
P. J. Brockwell 氏・松田 安昌 氏 (共同受賞)
第 12 回 日本統計学会出版賞
竹内 啓 氏 (歴史と統計学 — 人・時代・思想. 日本経済新聞社.)
第 33 回 小川研究奨励賞
茂木 快治 氏

第 24 回 日本統計学会賞

小暮 厚之 氏

略歴
1977年東北大学経済学部卒業, 1986年Ph.D. in Statistics取得 (イエール大学統計学部), 1985年東北大学経済学部助手, 1986年福島大学経済学部助教授, 1998年千葉大学法経学部教授, 2001年慶應義塾大学総合政策学部教授, 2018年慶應義塾大学名誉教授, 東京経済大学経営学部教授.
授賞理由

小暮厚之氏は我国の黎明期にあった金融工学, また保険数理の新たな展開であるアクチュアリアル・サイエンスにおいて多くの優れた研究業績を挙げている. 特に, ベイズ統計学を市場整合的なリスク評価に結びつける斬新な手法を提案して, 世界的に高く評価されている. またファイナンス関係等の著書の刊行を通して, 金融・保険分野の統計分析の普及, 啓発に貢献し, さらに, 金融工学および保険に関する統計分析を推進する我国の学会等への貢献も顕著である.
小暮氏のこのような統計学の発展および普及に対する多大な貢献は, 日本統計学会賞にふさわしいものである.

主要業績
[1] Kogure, A. (1998). Effective Interpolations for kernel density estimators. Journal of Nonparametric Statistics, 9, 165-195.

[2] Kogure, A., Kitsukawa, K. and Kurachi, Y. (2009). A Bayesian comparison of models for changing mortalities toward evaluating longevity risk in Japan. Asia-Pacific Journal of Risk and Insurance 3, 1-22.
[3] Kogure, A. and Kurachi, Y. (2010). A Bayesian approach to pricing longevity risk based on risk-neutral predictive distributions. Insurance Mathematics and Economics, 46, 162-172.
[4] Kogure, A. , Li, J. and Kamiya, S. (2014). A Bayesian multivariate risk-neutral method for pricing reverse mortgages. North American Actuarial Journal 18, 242-257.
[5] Kogure, A. and Fushimi, T. (2018). A Bayesian pricing of longevity derivatives with interest rate risks. Asia-Pacific Journal of Risk and Insurance 12.

第 15 回 日本統計学会統計活動賞

国立大学法人 滋賀大学

授賞理由
滋賀大学は, 日本で最初に2017年4月にデータサイエンス(DS)学部を設置した.
従来, 日本の大学・大学院では統計学関係者が複数の学部・大学院や組織に散在しているのが一般的であり, 大学の学部教育や大学院教育等, 系統的な高等専門教育は先進国として極めて不十分と言わざるを得ない状況であった. 他方, 近年の社会における情報通信技術の進歩は目覚ましく, データを取巻く環境は急激な変貌を遂げ, それに呼応して日本社会においても統計・データに基づいて課題を解決できる人材が求められるようになっている. そのような状況の中, 2014年に滋賀大学において前学長の佐和隆光氏によりDS学部設置が発議, 公的審査を経て2016年に正式に文部科学省によって認可されている. 実際にDS学部の設置に当たっては, DS学部の竹村彰通学部長が中心的役割を果たし, その貢献は顕著である. 滋賀大学はDS学部の先駆けであり, その後, 他大学でもDS学部が設置され始めている.
滋賀大学が日本で最初にDS学部を設置したことは, 統計学および統計を支える基盤の充実・高度化への多大な貢献として, 日本統計学会統計活動賞にふさわしいものである.
参考資料
[1] 滋賀大学DS学部Website: https://www.ds.shiga-u.ac.jp/
[2] Takemura, A. (2018). A new era of statistics and data science education in Japanese universities. Japanese Journal of Statistics and Data Science 1, 109-116.
[3] 竹村彰通 (2018). データサイエンス入門. 岩波書店.

第 15 回 日本統計学会統計教育賞

一般社団法人日本品質管理学会TQE特別委員会

受賞理由
TQE(Total Quality Education)特別委員会は, 設置以降10年にも及ぶ取組を通して統計教育普及に多大な実績を挙げ, 日本統計学会の統計教育委員会とともに平成29年, 30年度に告示された新学習指導要領における小中学校を通しての統計教育の更なる拡充と重点化に大きく貢献した. 特に、産官学の有識者と初中等の学校教育現場を繋ぐ「科学技術教育フォーラム」を実施し, また産業界の人材育成の研修知見に基づく初等中等教育における統計的問題解決法の事例を開発し, 副教材として配信したことは高く評価される.
TQE特別委員会のこれらの活動は, 統計教育の発展に大きく貢献しており, 統計教育賞にふさわしいものである.
参考資料
[1] TQE Website: https://suzukilab.wordpress.com/jsqc-tqe/
[2] 鈴木和幸 (2015). 初等中等教育における問題解決力育成にむけて. 品質誌 TQE特別委員会特集を編纂 (Vol.45, No.4), 文科省視学官招待論文始め有識者の論文5本.
[3] 鈴木和幸 (2018). データ駆動型社会と新学習指導要領. 品質誌 TQE特別委員会特集を編纂 (Vol.48, Nos.4, 5), 文科省視学官招待論文始め有識者の論文6本.

塩澤 友樹 氏

略歴
2008年筑波大学第一学群自然学類卒業, 2010年筑波大学大学院教育研究科教科教育専攻修了, 2010年東京都立小石川中等教育学校教諭, 2016年東京都立白鷗高等学校附属中学校教諭, 2018年岐阜聖徳学園大学教育学部専任講師.
授賞理由
塩澤友樹氏は, 標本抽出の概念形成に関する理論研究の遂行後, 学校現場での多くの授業実践を通して, 新たな統計教材の開発や指導法の提案に精力的に取り組んでいる. 特に, 2012年8月における日本科学教育学会第36回大会では, 平成29年, 30年告示学習指導要領に繋がる先駆的な実践に関する発表を行った。また, 2011年からは日本数学教育学会研究部高等学校部会常任幹事として同学会の全国算数・数学教育研究大会の教育課程分科会(高等学校)において基調発表を担当し, 教育課程や課題研究に関する提言を行ってきた.
塩澤氏のこれらの活動はこれまでの実績に加え, 統計教育のこれからの発展に大きく貢献することが期待され, 統計教育賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] 塩澤友樹・須藤雄生(2012). 中学校数学科における標本調査の授業実践 — 標本抽出に着目して — . 日本科学教育学会年会論文集, 36, 151-154.
[2] 塩澤友樹 (2015). 高等学校数学科における相関関係の指導の現状とその改善に関する一考察 — 散布図の見方に着目して — . 日本科学教育学会年会論文集 39, 153-156.
[3] 塩澤友樹,柗元新一郎,川上貴,藤原大樹,細矢和博 (2016). 中等教育段階における生徒の統計的思考力の現状と課題(2) — PPDACサイクルにおける「分析」の相に焦点とあてて — . 日本数学教育学会誌 98 (9), 4-14.
[4] 塩澤友樹 (2019). データサイエンス時代に向けた学校数学における条件付き確率の扱いの再考 — ベイズ推測に着目して — . 統計数理研究所共同研究リポート, 統計教育実践研究, 特別号, 41-46.

第 13 回 日本統計学会研究業績賞

P. J. Brockwell 氏・松田 安昌 氏 (共同受賞)

略歴
P. J. Brockwell氏:1967年PhD取得(オーストラリア国立大学), 1966年アルゴン国立研究所研究員, 1970年ミシガン州立大学准教授, 1976年コロラド州立大学教授, 現在, 同大学名誉教授.
松田安昌氏1999年博士(理学)取得(東京工業大学), 1997年神奈川大学工学部助手, 2000年新潟大学経済学部助教授, 2005年東北大学大学院助教授, 2011年東北大学大学院教授.
授賞理由
Brockwell氏と松田安昌氏は, 連続時間自己回帰移動平均モデルを時系列から空間データに拡張し, またベイズモデルによる新しい推定アルゴリズムの提案とその地価データ空間構造の分析への適用は高く評価されている. 特に, 連続と離散にあるギャップをベイズ法によって解釈し, 推定さらにスムージングに応用しているところに応用データ解析の面からの多大な貢献がある.
Brockwell氏と松田氏のこのような統計学の広範な研究分野に対する顕著な貢献は、日本統計学会研究業績賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] Brockwell, P. and Matsuda, Y. (2017). Continuous autoregressive moving average random fields on Rn. Journal of the Royal Statistical Society, Series B, 79, 833-857.
[2] Brockwell, P. (2014). Recent results in the theory and applications of CARMA processes. Ann. Inst. Statist. Math., 66, 647-685.
[3] Matsuda, Y. and Yajima, Y. (2018). Locally stationary spatio-temporal processes. Jpn. J. Stat. Data Sci., 1, 41-57.

第 12 回 日本統計学会出版賞

竹内 啓 氏

受賞出版物
歴史と統計学 — 人・時代・思想. 日本経済新聞社.
略歴
1956年東京大学経済学部卒業, 1961年東京大学大学院経済学研究科博士課程修了, 1963年東京大学経済学部助教授, 1975年~1994年同教授, 1987年~1994年同先端科学技術研究センター併任教授, 1994年~2006年明治学院大学国際学部教授, 現在, 東京大学名誉教授, 明治学院大学名誉教授, 日本学士院会員.
授賞理由
著者の竹内啓氏は, 日本のみならず世界を代表する統計学者であり, これまでにも多く著書および論文で統計学の分野で多大な貢献をされてきた.
本書は, 日本の統計学の分野における金字塔, 最高峰の頂であり, 著者が述べているように, その頂に達するのに様々な登り口が用意されている. 具体的には「人口統計」, 「政治算術・国情論」, 「確率論」, 「進化論」, 「マクロ経済計算」, 「ベイズ統計学」等の登り口である. 統計学の研究者はもとより, 統計実務者, 統計学を学ぶ学生, 院生が自分に合った登り口から頂を目指す必読書になることが期待される.
受賞の対象となった著書は, 日本の統計学分野の誇るべき財産であり, 日本統計学会出版賞として顕彰するにふさわしいものである.

第 33 回 小川研究奨励賞

茂木 快治 氏

略歴
2008年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業, 2009年早稲田大学大学院経済学研究科修士1年コース修了, 修士(経済学)取得, 2014年ノースカロライナ大学チャペルヒル校博士課程修了, Ph. D. in Economics取得, 2014年早稲田大学政治経済学術院助手, 2015年同助教,
2016年神戸大学大学院経済学研究科講師.
授賞理由
茂木快治氏は, 観測頻度が異なる成分時系列から構成される多変量系列をベクトル自己回帰(vector autoregressive, 略してVAR)モデルを用いて解析する場合について, 理論および実証分析において優れた業績を挙げている. 特に, Granger因果性を検定するための新たな検定統計量の提案, また観測頻度の異なる株価, 銀行貸出高, 企業収益, 企業投資額を組みこんだVARモデルを構築して新たな知見を与えている.
茂木氏の研究は理論および実証分析において将来が期待され, 日本統計学会小川研究奨励賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] Ghysels, E., Hill, J. B. and Motegi, K. (2016). Testing for Granger causality with mixed frequency data. Journal of Econometrics 192, 207-230.
[2] Motegi, K. and Sadahiro, A. (2018). Sluggish private investment in Japan’s lost decade: Mixed frequency vector autoregression approach. North American Journal of Economics and Finance 43, 118-128.
[3] Hill, J. B. and Motegi, K. (2019). Testing the white noise hypothesis of stock returns. Economic Modelling 76, 231-242.
[4] Ghysels, E., Hill, J. B. and Motegi, K. (2018). Testing a large set of zero restrictions in regression models, with an application to mixed frequency Granger causality. Accepted in Journal of Econometrics.
[5] Hamori, S., Motegi, K. and Zhang, Z. (2019). Calibration estimation of semiparametric copula models with data missing at random. Journal of Multivariate Analysis 173, 85-109.
  • 賛助会員
  • 統計関連メーリングリスト
  • 統計教育委員会
  • 統計検定

〒101-0051
東京都千代田区神田神保町3-6
能楽書林ビル5F
(公財)統計情報研究開発センター内
TEL & FAX:03-3234-7738

メールでのお問い合わせ