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科学研究費への応募促進について

田村 義保 (統計数理研究所)

平成18年度の科学研究費の応募の時期となりました.会報等でお知らせしておりますように,14年度まで複合領域の分科であった「統計科学」が,15年度からは総合領域の情報学分科の中の一つの細目となっています.統計科学は赤池弘次先生をはじめとした先人の努力により分科としてたてられたもので,このような変更は残念なことですが,その一つの原因は統計科学への申請件数が少なかったことがあげられます.

平成18年用の公募要領などの書類は,日本学術振興会の科学研究費のホームページ
http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/
から入手することができます.

このホームページには科学研究費に関するさ ざまな情報が提示されております.例えば統計科学への新規課題申請件数は,平成15年度165件,平成16年度164件,に対して平成17年度187件と,昨年は1割程度増えましたが,科研費の予算総額が増加していることを考慮すれば,統計科学への申請件数もさらに増えることが望まれます.

研究資金の流れが競争的資金へとシフトしつつある中で,科学研究費の獲得は,統計研究者の集団の存在を認識させるという意味も持っており,極めて重要です.科学研究費への申請件数や申請額が,その分野への資源配分の目安として用いられることもあります.従いまして,申請の資格を持った統計研究者は統計科学への応募を是非ご検討ください.すでに科学研究費を継続中の方も,萌芽研究への応募などの可能性がありますので,こちらもあわせてご検討ください.なお,統計科学が細目になったことに伴って,審査員は必ずしも統計関係者とは限りませんので,申請書を作成する際には,統計関係以外の方々にも理解できるような申請書の書き方が必要と思われます.また,科研費の採択率を30%程度まで高めるという計画もあるそうですが,現状では1/4程度です。このことを考えると,さまざまな形の特徴のある研究プロジェクトを複数組織して応募するといった工夫も必要になると思われます.

なお,統計研究者の中には「経済統計学」あるいは「数学一般(含確率論・統計数学)」に応募される方もおられると思われます.研究者の関心に応じてこれらの分野への応募もご検討いただくようお願いいたします.

あまり,よくないお知らせなので書くことは躊躇しますが,新学術会議会員の研究分野としては「統計学」はありませんでした.科研費の申請分野である「情報学」の中に含まれているとは思いますが,「情報学」の会員の中にも統計科学の研究者は選ばれていません.学問分野として生き残れるかの瀬戸際かもしれません.科研費の応募数を増やして,「情報学」の中の統計科学の重みを増していくことが昨年よりも重要であると思います.基盤研究等の日本学術振興会への提出締め切りは11月中旬となっていますが,各研究機関の締め切りは,10月中のところが多いと思います.あまり時間がありませんが,大規模な科研費を学会のプロジェクト的な研究として出すことを考えています.テーマの提案を受付けたいと思います.希望者は田村までご連絡ください.

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