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2016年度学会賞受賞者の紹介

第 21 回 日本統計学会賞
鎌倉 稔成 氏栗木 哲 氏田栗 正章 氏
第 12 回 日本統計学会統計活動賞
鈴木 督久
第 12 回 日本統計学会統計教育賞
石井裕基センサス@スクールプロジェクトによる統計教育の普及促進(主査:青山和裕)
第 10 回 日本統計学会研究業績賞
金森 敬文・藤澤 洋徳(共同受賞)村上 秀俊
第 9 回 日本統計学会出版賞
柳川堯・近代科学社(共同受賞) (『バイオ統計シリーズ(全6巻)』)
第 30 回 小川研究奨励賞
廣瀬 善大 氏

第 21 回 日本統計学会賞

鎌倉 稔成 氏

略歴
1976年 東京工業大学経営工学科卒業,1980年 東京工業大学大学院博士後期課程中退.1989年 工学博士(東京工業大学).1980年 統計数理研究所研究員,1985年 中央大学理工学部専任講師,1989年 同助教授,1995年 同教授.2005年中央大学大学院理工学研究科委員長,2014年 中央大学理工学研究所長.2008年 応用統計学会会長,2013年 日本統計学会理事長.
授賞理由
鎌倉稔成氏は,生存時間分析における統計解析手法の理論開発に尽力され,その成果は著名学術雑誌に掲載されるなど,多くの優れた研究成果を上げてこられた.また近年では,センシングデータに対するモデリング法などを多数開発され,映像に基づく歩容解析手法の提案,室内での位置推定手法の開発,製品生産工程におけるヒートシールの温度管理など,統計理論の分野だけでなく,数多くの応用科学分野の発展に大きく寄与された.
また,統計学界への貢献としては,日本統計学会の理事長や応用統計学会の会長など,多くの学会において,理事,評議員などを歴任し,学会活動に多大な貢献をされている.教育面においても,多くの博士号取得者を輩出するなど,その貢献は顕著である.
鎌倉氏のこのような統計学の発展および普及に対する多大な貢献は,日本統計学会賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] Kamakura, T. and Yanagimoto, T. (1983) Evaluation of the regression parameter estimators in the proportional hazard model. Biometrika, 70, 530-533.
[2] Kamakura, T. and Yanagimoto, T. (1985) Point process models in asthma attacks for assessing environmental risk factors. Environmental Health Perspective, 66, 203-210.
[3] Kamakura, T. and Takizawa, T. (1994) Multiple comparison among groups of growth curves. Environmental Health Perspective, 102, 37-42.
[4] Kamakura, T. (2012) Computational methods in survival analysis. In Handbook of Computational Statistics, 2nd Edition, Springer, 807-824.
[5] Nagatsuka, H., Kamakura, T. and Balakrishnan, N. (2013) A consistent method of estimation for the three-parameter Weibull distribution. Computational Statistics and Data Analysis, 58, 210-226.

栗木 哲 氏

略歴
1982年 東京大学工学部計数工学科卒業,1984年 東京大学大学院工学系研究科計数工学専門課程修士課程修了.博士(工学)(東京大学).1984年 日本電気株式会社.1987年 東京大学助手,1993年 信州大学助教授,1995年 統計数理研究所,総合研究大学院大学助教授,2005年 同教授.
授賞理由
栗木哲氏は,積分幾何学などの高度な数学を利用して多変量解析の理論を発展させ,多くの研究成果を挙げてきている.中でも,特異モデルにおける検定,同時区間推定,多重検定などで必要とされるチューブ法あるいはそれを一般化したオイラー標数法の発展に大きく貢献した.特にチューブ法に関しては,従来の手法では困難とされてきた未解決問題を解いたことに加え,応用上の価値も高いことを再認識させ,近年では,その理論的な拡張に尽力するとともにゲノム統計解析への活用を図るなど,その貢献には枚挙にいとまがない.
また,学術雑誌AISMのエディターを長期にわたり務めるなど,統計学の多くの分野での業績が顕著である.
栗木氏のこのような統計学の発展および普及に対する多大な貢献は,日本統計学会賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] Hirotsu, C., Kuriki, S. and Hayter, A. J. (1992) Multiple comparison procedures based on the maximal component of the cumulative chi-squared statistics. Biometrika, 79, 381-392.
[2] Kuriki, S. (1993) One-sided test for the equality of two covariance matrices. Annals of Statistics, 21, 1379-1392.
[3] Takemura, A. and Kuriki, S. (1997) Weights of chi-bar-squared distribution for smooth or piecewise smooth cone alternatives. Annals of Statistics, 25, 2368-2387.
[4] Kuriki, S. and Takemura, A. (2001) Tail probabilities of the maxima of multilinear forms and their applications. Annals of Statistics, 29, 328-371.
[5] Kuriki, S. and Numata, Y. (2010) Graph presentations for moments of noncentral Wishart distributions and their applications. Annals of the Institute of Statistical Mathematics, 62, 645-672.

田栗 正章 氏

略歴
1968年 東京大学工学部計数工学科卒業,1970年 東京大学大学院工学系研究科計数工学専門課程修士課程修了.工学博士(大阪大学).1971年 千葉大学理学部助手,1974年 同講師,1983年 同助教授,1988年 同教授.2005年(独)大学入試センター研究開発部教授,2007年 同副所長.2010年 中央大学大学院理工学研究科客員教授.2006年 応用統計学会会長,2014年 日本学術会議連携会員.1977年 日経品質管理文献賞,2008年 大内賞受賞.
授賞理由
田栗正章氏は,統計データのグラフ表現やサンプリング理論,リサンプリング理論の研究およびそれらの実際問題の応用により,当該分野の進歩に大いに寄与した.また,大気環境の保全に関わる統計解析の理論的・実践的研究も積極的に行い,日本全国の地方自治体における大気汚染状況の把握には,この研究で提案された方法が標準的なものとして有効に利用されている.さらに,窒素酸化物濃度の予測の研究にも携わり,その研究成果は大気環境研究では一流の国際誌に掲載された.
近年は,入学者選抜に関する統計解析にも深く関わり,研究面のみならず入学試験の実施に関しても本質的な寄与をしている.さらには,大学における統計教育の質保証のための参照基準の取りまとめに中心的な役割を果たすなど,統計教育に関する貢献も顕著である.
田栗氏のこのような統計学の発展および普及に対する多大な貢献は,日本統計学会賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] Wakimoto, K. and Taguri, M. (1978) Constellation graphical method for representing multi-dimensional data, Annals of the Institute of Statistical Mathematics, 30, A, 97-104.
[2] Taguri, M. (1982) Optimum stratification and its robustness (IV) — Robustness on stratification points, Reports of Statistical Application Research, JUSE, 29, A, 32-41.
[3] Inoue, T., Hoshi, M. and Taguri, M. (1986) Regression analysis of Nitrogen Oxide concentration, Atmospheric Environment, 20, 71-85.
[4] Hoshi, M., Taguri, M. and Inoue, T. (1989) PREDICTING NITROGEN OXIDE CONCENTRATIONS, Chapter 17 in Encyclopedia of Environmental Control Technology, Volume 1 : Air Pollution Technology, 679-734.
[5] Hashimoto, A., Miyano, H. and Taguri, M. (2007) Maximization of correlation under a quadratic constraint, Journal of the Japan Statistical Society, 37, 105-121. 

第 12 回 日本統計学会統計活動賞

鈴木 督久 氏

略歴
1982年 早稲田大学第一文学部卒業.1982年(株)日経リサーチ入社.1990年 日本経済新聞社政治部記者.2005年 日経リサーチ 取締役.2016年 常務執行役員.東京大学,筑波大学,早稲田大学などの非常勤講師を務める.応用統計学会,日本行動計量学会,日本品質管理学会,日本世論調査協会,日本マーケティング・リサーチ協会,社会調査協会,統計質保証推進協会などでの役職を歴任.2003年 日本品質管理学会品質技術賞,日本行動計量学会優秀賞受賞.
授賞理由
鈴木督久氏は,共分散構造分析を用いた優良企業活動を統計的に評価する調査方式の開発・実装において長年リーダーシップを発揮され,これによりわが国の統計的企業評価活動の水準は大きく向上した.また,選挙予測におけるブートストラップ法の適用などでも大きな役割を果たした.東京大学,筑波大学,早稲田大学などの大学・大学院で,実務の裏付けのある実践的な統計調査法,統計的データ解析などの講義を行い,今日の共分散構造モデリングの人文科学分野での隆盛に果たした役割も大きい.
さらには,日本統計学会認定の統計検定の立ち上げにおいても,その実務的専門性を十分に発揮された.調査技術に関する一般誌や新聞などの解説も多く,その統計的活動は顕著である.
鈴木氏の活動は,統計学の普及および更なる啓発につながるものであり,統計活動賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] 鈴木督久 (2002) SEMによる企業イメージのマネジメント-平均構造・多母集団解析の応用-.行動計量学,29,2,42-49.
[2] 鈴木督久 (2003) モンテカルロ法による衆院議席予測精度の検討.オペレーションズ・リサーチ,48,1,11-16.
[3] 鈴木督久 (2003) 調査データによる企業評価システムの構築-「日経プリズム」の10年-.品質,33,3,52-58.
[4] 朝野煕彦・鈴木督久・小島 隆矢 (2005) 入門 共分散構造分析の実際.講談社.
[5] 鈴木督久・佐藤 寧 (2012) アンケート調査の計画と分析入門.日科技連出版社.

第 12 回 日本統計学会統計教育賞

石井 裕基 氏

略歴
1984年 静岡大学理学部卒業,1984年 香川県立坂出工業高校教諭,1987年 香川県立高瀬高等学校教諭,1991年 香川県立多度津工業高等学校教諭,1995年 香川県立丸亀高等学校教諭,2006年 香川県立観音寺第一高等学校教諭.
授賞理由
石井裕基氏は,統計教育で注目されている統計的問題解決の中等教育への導入に対して,精力的に活動している.特に,スーパーサイエンスハイスクール (SSH) の指定を受けた高等学校における数学の授業において,統計的な内容の授業開発に意欲的に取り組み,生徒が主体的に学ぶ姿勢を踏まえながら,全国統計グラフコンクールや統計教育の方法論ワークショップおよびスポーツデータ解析コンペティションなどにて,生徒の発表を指導し,顕著な教育的な実践活動を展開している.高等学校教育の中で統計教育の導入や普及に努めている点は,学校教育における統計教育活動として高く評価できる.
石井氏のこれらの活動は統計教育のこれからの発展に大きく貢献するものであり,統計教育賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] 石井裕基 (2012) 全国SSH交流支援教員研修数学科教員香川研修会発表.
[2] 石井裕基 (2013) 高校教育フォーラム2013パネル討論.
[3] 石井裕基 (2015) うどん県立高校の統計教育黎明記.第11回統計教育の方法論ワークショップ.統計数理研究所共同研究リポート335,統計教育実践研究第7集,127-134.
[4] 石井裕基 (2015) 全国SSH交流支援教員研修 数学科教員徳島研修会発表.
[5] 石井裕基 (2016) うどん県立高校の統計教育迷走記.第12回統計教育の方法論ワークショップ.統計数理研究所共同研究リポート362,統計教育実践研究第8集,95-98.

センサス@スクールプロジェクトによる統計教育の普及促進(主査:青山和裕氏)

略歴(青山和裕氏)
2000年 愛知教育大学大学院教育学研究科数学教育修了,2005年 筑波大学大学院学校教育専攻単位取得退学.2008年 愛知教育大学数学教育講座助教,2010年 同講師,2011年 同准教授.日本数学教育学会,日本科学教育学会などの役職を歴任.
授賞理由
センサス@スクールプロジェクトは,国際センサス@スクールプロジェクトと連携し,初等・中等教育段階向けの統計教育の普及・促進のため,統計数理研究所とも協力し,日本版センサス@スクールサイトを開発・公開・運営している.このサイトは,2009年に稼働を開始し,文部科学省および総務省の後援を得て,現在まで小中学校などでの統計学習に役立てられている.青山主査を中心とする研究部会は,国際プロジェクトの参加各国と連携し,教材開発と共有化を進め,日本版センサス@スクールサイトを通じて現場教員への支援を継続的に行っている.
青山氏を主査とするセンサス@スクールチームの活動は,統計教育のこれからの発展に大きく貢献するものであり,統計教育賞にふさわしいものである.
主要業績
[1] 青山 和裕 (2007) 日本の統計教育改善の方向性についての検討.日本統計学会誌,シリーズJ,36,263-277.
[2] 統計数理研究所共同研究リポート,統計教育実践研究No. 1,51-52,No. 2,2-3,No. 3,69-70,No. 4,56-57.No. 5,66-67,No. 8,13-16.
[3] 日本数学教育学会第41回数学教育論文発表会論文集,465-470.
[4] CensusAtSchool 2nd International Workshop (2008),International Association for Statistical Computing (2008),57th Session of the International Statistical Institute (2009),2013 Joint IASE, IAOS Satellite Conference (2013) などにおける研究発表.

第 10 回 日本統計学会研究業績賞

金森 敬文 氏・藤澤 洋徳 氏 (共同受賞)

略歴

金森敬文氏:1994年 東京大学工学部計数工学科卒業,1996年 東京大学大学院工学系研究科修士課程修了,1999年 総合研究大学院大学数物科学研究科博士課程修了.博士(学術)(総合研究大学院大学).統計数理研究所COE研究員,モントリオール大学博士研究員を経て 2001年 東京工業大学大学院情報理工学研究科助手,2007年 名古屋大学大学院情報科学研究科准教授,2016年 同教授.

藤澤洋徳氏:1992年 広島大学理学部数学科卒業,1997年 広島大学大学院理学研究科博士後期課程修了.博士(理学)(広島大学).1997年 広島大学経済学部研究員.1997年 東京工業大学大学院情報理工学研究科助手,2001年 統計数理研究所助教授,2013年 同教授.

授賞理由
金森敬文,藤澤洋徳の両氏は,下記の2論文に代表される研究活動により,ダイバージェンスに基づくロバスト統計の世界に新しい視点を持ち込み,独創的な成果を上げた.論文 [1] では,経験推定可能性とアフィン共変性を持つダイバージェンスの一般的なクラスを提案してその性質を考察し,ロバスト推定に適用した.論文 [2] では,さらにその研究を一般化し,統計モデルと外れ値の割合を,潜在バイアスなく同時推定することを可能にしている.ダイバージェンスに基づく統計モデルの推定に加えて,外れ値の割合をも同時推定するという視点をロバスト推定へ導入したことは,きわめて独創的なものである.
以上の通り,金森,藤澤両氏のロバスト推定への新たな視点の導入の業績は顕著であり,日本統計学会研究業績賞として顕彰するにふさわしいものである.
主要業績
[1] Kanamori, T. and Fujisawa, H. (2014) Affine invariant divergences associated with composite scoring and their applications. Bernoulli, 29, 2278-2304.
[2] Kanamori, T. and Fujisawa, H. (2015) Robust estimation under heavy contamination using unnormalized models. Biometrika, 102, 559-572.

村上 秀俊 氏

略歴
2002年 中央大学理工学部数学科卒業,2007年 中央大学大学院理工学研究科博士後期課程修了.博士(理学)(中央大学).2007年 中央大学理工学部経営システム工学科,2009年 防衛大学校総合教育学群講師,2015年 東京理科大学理学部数理情報科学科講師.2013年 日本計算機統計学会優秀賞受賞.
授賞理由
村上秀俊氏は,ノンパラメトリック検定法や分布の近似法の構築に関して,有益な数理統計的な成果を数多く得ている.特に近年,ノンパラメトリック検定に対するサドルポイント近似の提案や検定統計量の不偏性などに関する多くの論文を公刊し,この分野での研究業績が顕著である.また村上氏は,当該分野に関する一般向けの著書を出版し,近年の研究成果を取りまとめるとともに,この分野の学習者に有益な情報を提供している.
以上のように村上氏は,旺盛な研究活動による研究成果の公表が顕著であり,日本統計学会研究業績賞として顕彰するにふさわしいものである.
主要業績
[1] Murakami, H. (2014) A saddlepoint approximation to the distribution of the sum of independent non-identically uniform random variables. Statistica Neelandica, 68, 267-275.
[2] Murakami, H. (2014) Asymptotic efficiency and small sample power of a locally most powerful linear rank test for the log-logistic distribution. Mathematical Sciences, 8, 109-115.
[3] Murakami, H. (2015) A randomized Baumgartner statistic for multivariate two-sample testing hypothesis. Journal of Statistical Computation and Simulation, 85, 189-201.
[4] Murakami, H. (2015) The power of the modified Wilcoxon rank sum test for the one-sided alternative, Statistics, 49, 781-794.
[5] 村上秀俊 (2015) ノンパラメトリック法.朝倉書店.

第 9 回 日本統計学会出版賞

柳川 堯 氏,近代科学社(共同受賞)

受賞出版物
バイオ統計シリーズ 全6巻
略歴 (柳川 堯 氏)
1966年 九州大学理学部数学科卒業,1966年 九州大学大学院理学研究科修了.理学博士(九州大学).九州大学理学部助教授,教授などを経て,2004年 久留米大学教授(バイオ統計センター).応用統計学会会長,日本計量生物学会会長,日本学術会議会員などを歴任.日本統計学会賞,Public Health Service Award (US Government),日本計量生物学会賞および功労賞などを受賞.
授賞理由
柳川堯氏は,医学分野における統計的方法論が重要性を増す中,久留米大学にバイオ統計センターを設立し,その後中心メンバーとして運営に尽力されてこられた.これまでの研究と教育の成果物としての本シリーズは,次の6冊からなるものである:① バイオ統計の基礎 (2010),② 臨床試験のデザインと解析 (2012),③ サバイバルデータの解析 (2010),④ 医療・臨床データチュートリアル (2014),⑤ 観察データの多変量解析 (2016),⑥ ゲノム創薬のためのバイオ統計 (2010).このシリーズは,バイオ統計センターでの教育・研究を超えて,我が国におけるバイオ統計分野でのテキストあるいは参考書として極めて有用なものとなっている.このシリーズを出版した近代科学社の慧眼も評価に値する.
本シリーズは,日本におけるバイオ統計の普及に重要な貢献をなしており,日本統計学会出版賞としてとして顕彰するにふさわしいものである.

第 30 回 小川研究奨励賞

廣瀬 善大 氏

受賞論文
Hirose, Y. and Komaki, F. (2015). An estimation procedure for contingency table models based on the nested geometry. Journal of the Japan Statistical Society, 45, 57-75.
受賞論文の評価
正規線形回帰モデルのパラメータ推定におけるスパース正則化法の一種である Least Angle Regression (LARS) 法は,2004年にEfron, Hastie, Johnstone and Tibshiraniにより提案されて以来広く利用されている.しかし,正規線形回帰モデル以外のモデルへのLARS法の直接適用には困難がある.廣瀬氏は,2010年の論文 (Hirose and Komaki) において,LARS法の情報幾何に基づく拡張であるbisector regression法を提案し,一般化線形回帰モデルに対し幾何学的に自然なスパース推定を可能にした.今回の論文では,bisector regression法を用いた分割表モデルにおける交互作用の推定手法を提案している.交互作用の推定ではその次数を考慮するのが自然であり,提案手法では次数の異なる交互作用を問題の幾何学的な構造に基づき順次推定する.また,提案手法と形式的な正則化法とを数値実験により比較し,提案手法の優位性を示している.非正規モデルにおけるスパース推定は応用面からも重要なトピックであり,この分野に貢献した受賞論文は,日本統計学会小川研究奨励賞にふさわしいものである.
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